角田光代さん「愛がなんだ」
こんにちは。
角田光代さん「愛がなんだ」
おもしろかったです。
角田光代さんが描く、恋愛に振り回される人間は大好きです。
内容を書いてしまいますので、ご注意ください。
主人公テルコが大好きなのは、クズ男のマモちゃん。
背が低く、猫背で細くて、かっこよくない。
秀でてる才能もなく、自分勝手で無神経、お金持ちでもない。
地味でモテない男や女が学校の人気者から好かれる漫画って結構ありますよね。
いろいろ思い浮かぶと思います。
たいていモテない側の登場人物たちには、良いなと思う魅力があり、
私は序盤から心を掴まれて、全力で応援していたりします。
ですが、マモちゃんは本当にクズです。
この小説を読んでいて、一度もマモちゃんの良さを感じなかったです。
ただ、マモちゃんは、しゃべるのは上手いのでモテなくはない気がします。
テルコは、ごく普通の女性だと思いますが、もっと他の恋愛もできるはずです。
テルコの友達同様、こんな男のどこがいいの?って私も思いました。
でも、そんなマモちゃんに振り回されて、テルコはどこまでも都合のいい女でいます。
テルコと一緒になって緊張したり、一喜一憂しながら読みました。
映画化されているこの小説。
マモちゃん役が、成田凌さんです。
一般的に見て、成田さんはかっこいいと思います。
そして、成田さんの身長は、182センチとウィキペディアに書いてありました。
高い。
どこの国に行っても低身長ではないはず。
この小説の良さは、テルコのマモちゃんへの狂いっぷりです。
テルコは、なぜか世界で一番マモちゃんが大好きなんです。
ですが、成田凌さんとなれば話は変わってきます。
何で?どこがいいの?って思う
変な男をテルコが追い続けてこそ
この小説は読者をハラハラ、モヤモヤさせ、最後にはゾッとさせると思うんですけどね。
小説の実写化に反対かと言うと、全くそんなことはありません。
映画は見ていませんが、
見たらきっと成田凌さんのマモちゃんもいいと思うんです。
「愛がなんだ」は、複数の登場人物たちが片思いをしています。
小説を読みながら、
どんな嬉しそうな顔をしているのか
どんな顔でひたすら連絡を待っているのか
どんな顔で選ばれるのは自分ではないと思いながら悩んでいるのか
好きな相手の自分には見せない新たな一面をどんな風に見ているのか
見てみたい場面がたくさんありました。
どんな表情で、どんな声で、どんな雰囲気で
きっと動き出したテルコやマモちゃんの世界に魅了されると思います。
そして、テルコにだけ良さのわかるマモちゃんでは、
映画を見ている人は、キュンとしたり、振り回されたりしないのでしょうね。
私のようにちょっと変わったセンスの人間が見ると、ハマるかもしれない
本当に女子ウケしない男性では
映画は終始イラつきながら見ることになるかもしれません。
映画の方は、自分には高嶺の花に思える相手を追いかける、なんとなく経験があるような親近感を持って楽しめると思います。
読むと見るを使い分けて、どちらも素敵な作品になっています。
見てないんですけどね。
読んでいただき、ありがとうございました。