何蕎麦?

ノーグルメブログ

Kがほしい

こんにちは。

 

もう何年も前の話だが、母の機嫌が悪かったので理由を聞くと、父がキッチンのリフォームを許可してくれたのだが、酔っぱらっていたようで、酔いが醒めてリフォームは却下されたのだ。

 

私の実家は一軒家で、父方の親が建てたらしく私が生まれる前に亡くなっているが、母は少しだけ父の親と同居期間があったらしい。

 

田舎なのもあると思うが、一括購入みたいな感じだったと思う。二世帯住宅ではなく完全に同居だ。

そのため、母が結婚してから建てた家だが、家に意見したことは少なかっただろう。

 

そして住んでいる人間もまた今流行りの感じではなく、父はほぼ家事をしない。

電子レンジさえ使わないのか使えないのか、母がいなければ冷めたままのおかずを食べる。

 

そんな母にとって、キッチンは自分だけの場所だ。

当時その怒りをそうなんだと流していた私だが、今ならわかる。

 

 

「料理上手の台所」

私はこの本が好きだ。

料理家の方や料理関係の仕事の方を中心に、21名の台所を見せていただけるのだ。

 

台所の間取りや、調理用品、食器や小物まで紹介されていて、私にとってキラキラの詰まった1冊である。

お洒落で洗練された感じというよりも、シンプルで使いやすそうな、どこか懐かしい感じの台所が多い。

 

私は、家がほしいとは思わない。

一軒家もマンションも今の私には必要ない。

 

ちょっと広めの1Kくらいがちょうど良い。

たいていの人の言うちょっと広めの1Kとは、ちょっと広めの部屋に簡単なキッチンがあればという考えだろう。

 

だが、私が望む1Kはちょっと広めのキッチンに簡単な部屋があればいい。

十分な調理スペースがあり、調理器具が置けて、シンプルな食器棚なんかも置いて、見せる収納で食器を積み重ねたい。

 

私はKがほしいのだ。

 

リフォームが中止になった母の悲しみが、今ならわかる。

母もKが好きなのだ。

 

「料理上手の台所」で、フードコーディネーターの長尾智子さんのおろし金が5つ写真と共に紹介されている。

 

母が「ちょっと高いおろし金を買った。ばあちゃん(母の母)にも買ってあげるんだ」と嬉しそうにしていたのを思い出す。

 

台所のものは、使い勝手重視という訳でもなく、オーブンで使えなくても、電子レンジで使えなくてもほしい食器は買う。

それぞれの鍋や道具、食器にはそれぞれの役割があり、その時の気分で変えたりして楽しんでいる。

これもささやかだが、豊かさというやつなんだと思う。

 

そして、私のブログはいつも「ですます調」だが、今回は下手ながら「である調」だ。

 

それは、私はKがほしいのだ。

って書きたかったからである。

 

読んでいただき、ありがとうございました。